それ、本当にあなたが求めているものですか?:『「欲望」と資本主義』

とても面白かったです!論が進んでいくのが小説のドラマティックな展開のように面白かった!

資本主義の発祥、歴史、経済学としての定義から概念としての定義、地域・国による特性、行く末などが人間の「欲望」をベースに論じられています。

資本主義とは人間の欲望を拡張していくもの、その中で拡張していく経済。

資本主義は人間の欲望をうまいこと活用した仕組みだと思っていましたが、その欲望すらメディアや情報によって操作し作りだすことも資本主義の一部。欲望はだからフロンティアを求め続ける。しかしフロンティアはいつしかなくなり変質していく、その結末は「文化」に至るという筆者の結論も非常に興味深いです。

欲望は、

  1. (国)外へ向かい、
  2. (国)内へ向かい、
  3. 自分に向かう

と段階を追って変質していく

という理論も面白いですし、アメリカは誰でもどこでも必要とされるものを大量生産し、「大衆」を作り出した(ハンバーガーやジーンズや車など)というのもふむふむなるほどでした。論文読んでこんなに興奮したのは初めてです!

文句なしの★五つ。もうちょっと読み込んでみます。
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お気に入り度:★★★★★

「欲望」と資本主義−終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)「欲望」と資本主義−終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)
佐伯 啓思

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