情報発信―「口コミ」の経済学
ぴったりのタイトルを付けたなぁと思います.ありがちなマーケティングの本ではなく,日常を生きる人達に,口コミが社会においてどんな大きな影響力を持っているかを説明し,この口コミ社会でどのように口コミと付き合っていくべきかを説いた本です.需要があるかどうかはさておき,その切り口が面白かった.
自分の研究柄,口コミというのは何らかの製品なり何なりに付随するものだと認識していましたが,本書では噂話の類も口コミであると定義しています.口コミの広がり方や活用の仕方,真偽の確かめ方を,著者の体験や身近な例を挙げて説明します.特に真偽の確かめ方については心がけておくようにするとデマが広がるのを防げるのではないでしょうか.
ただし女性に関しては…彼女たちは噂を話し広がっていくことそのものを楽しんでいるでしょうから立て板は立てられないでしょうけど.:-p
著者の訴えたいことは「おわりに」にまとめられています.口コミ社会の主人公は「等身大で情報の発信・受信ができる人」であると述べた上で,
p198
およそすべての人にこうした権利が与えられた時代が,歴史上あっただろうか?p202
口コミを利用してひと儲けしてやろうとか,匿名という隠れミノにこもり,自分以外の何者かになり済まし他人を攻撃しようという姿勢は,決して「等身大」ではない.(中略)口コミ・ネットワークがこうした人たちだけに浸食されてしまうのは“つまらない”のである.正直が一番,嘘をついてもいつかはばれるんだよ,ということですね.