セブンはなぜEdyの進入を許したのか



電子マネー業界では今、激しいシェア取り合戦が繰り広げられています。そんな中、nanacoを担ぐセブンイレブンEdyを導入することを決めました。ここへ来てなぜ、セブンはEdyの侵入を許したのか?考えてみました。

電子マネーのビジネスモデル

電子マネーのビジネスモデルはどうなっているのでしょう。これは、クレジットカードと同様、手数料ビジネスです。電子マネー提供会社が対応店舗に読み取り端末を置き、そこからの売り上げの何%かを手数料として払ってもらう。このビジネスがあることにより生じるメリットは以下です。

  • 消費者:買い物が便利!ポイントがたまる
  • 対応店舗:便利になってポイントもたまる分、買い物が増えて売り上げが上がるかも
  • 電子マネー会社:手数料がっぽり!

みんな幸せ!すばらしいですね。

このビジネスモデルで儲けるためには、以下のことが必要です。

  1. 対応店舗を増やす
  2. 自社の電子マネー利用者を増やす

消費者は何種類もの電子マネーを使い分けることは好みません。面倒だし。となると、これはパイの奪い合いになります。現状はまだ電子マネーは広まりきっていませんので、いかに早くシェアを広げていくかが各社の課題になっていきます。

乱立する電子マネー

現状、すでに以下の電子マネーが流通しています。

SuicaEdyをすでに利用していた私にとって、2007年のnanacoおよびWAONの参入は「まだ増えるのか」という印象でした。乱立させて過当競争に陥るよりも、既存のものにのっかって効率よく儲ける方法をさがせばいいのではないかと。

ローソン、ファミマ、am/pmなどが他社電子マネーを導入する中、コンビニ業界ダントツ一位を誇るセブンイレブンは、自社の電子マネーを発行しました。この戦略は、自社の顧客を囲い込めるます。一方、他社の電子マネーを導入することは自社電子マネーのシェア拡大の障害となるため、好ましくありません。実際、これまでセブンに導入されていた電子マネーは、nanacoのほかはJCBのQUICKPayのみに限られていました。

なぜセブンはEdyを導入したのか

ここで先日、セブンのEdy導入決定が報じられました。シェアが奪われる恐れがあるのに、なぜ他社電子マネーを導入したのでしょうか?スタートダッシュが良かったから、余裕だろうと思ったのか、Edyと手を結んだのか…

自分で考えてもさっぱりわからず、ここまでうだうだとつづってきましたが、数字を見ると一目瞭然でした。

主な前払い式電子マネーの利用状況

発行枚数 月間利用件数 利用可能店舗数
Edy 4,750万枚 2,250万件 12万6,000店
Suica 2,536万枚 2,261万件 5万9,220店
PASMO 1,177万枚 872万件 5万1,000店
nanaco 766万枚 2,900万件 2万3,361店
WAON 900万枚 1,700万件 2万8,000店
ICOCA 448万枚 85万件 4万9,790店

nanacoが初年度目標発行枚数1000万枚*1だったのに対し、現状は766万枚。スタートダッシュがすごい勢いだったのでまだまだ順調なんだろうと思い込んでいたら、発行枚数は予想ほど伸びず、頭打ちの現状があったんですね。そりゃ、販売機会の掬い上げとして、発行枚数ダントツ1位のEdyと組みたいですよね。他大手コンビニチェーンはほぼEdyが使えるわけですし。

この展開を1年以上前にドンぴしゃりと言い当てているエントリがあったので驚きました。

nanaco生活、初年度発行枚数1000万はきびしそう? | tommy's room - 楽天ブログ

  • セブンがタッグを組むならEdyである
  • セブンは駅近店舗戦略なので交通系電子マネーとは競合してしまう、よってEdyが相応しい
  • セブンにとってEdyの厚い基盤はおいしい
  • Edyにとっても大手コンビニ制覇!はおいしい

結局のところ

セブンはnanaco導入当初から、EdyをはじめSuicaPASMOとの提携も計画していたようですね。結局、今回たまたま早い段階でEdyと手数料の折り合いがついただけなのかも…。どちらが歩み寄ったのか、巷の噂ではEdyらしいですけど、はてさて。